2012/11/24 Category : 日乗(にちじょう) ―“現代書生”の色色とその生活― 沫緒(あわを) 玉の緒を沫緒に縒りて結べらばありて後にも逢はざらめやも紀女郎 きのいらつめ(紀少鹿女郎 きのおしかのいらつめ)[万葉集 巻4-763 相聞] 互いの玉の緒を沫緒のように緩やかに縒り合わせて結んでおけば、生き長らえて後には、いつかお会い出来ないわけがありましょうか今朝、NHKラジオ第1「とっておきラジオ」にて『NHK万葉恋活講座 ~万葉集に学ぶ恋の技~』が放送された。迂闊な事に殆どを聴き逃してしまった為、サイトにて紹介された歌を眺めていたところ、上記の歌が気になったのである。教科書的な現代語訳では解りづらいが、清川妙著『つらい時、いつも古典に救われた』より引用すると、「紀女郎が大伴家持におくった歌、家持のほうから恋仲になろうと迫られたのに対して、やんわりと『おたがい、もっと自由な仲のほうが長つづきしていいんじゃない?』と、いなしている歌だ。恋してすぐに深い仲になってしまって、飽きて別れて胸をひき裂かれる思いをするよりも、男友達の関係のほうがいいわ、という提案。古い『万葉集』の中にも、こんないまふうなセンスの歌があることは、なんとも愉しい。いってみれば、これは『恋人でいるより、男友達の関係でいましょうよ』という提案ではなかろうか」との事である。万葉の恋歌というと情熱的なものと想起し勝ちだが、こんなにも清涼な歌があったとは。 PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword