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人魚廼舎 詞藻苑  NINGYO NO YA ―shisou en―

Home > ブログ > 病犬(やまいぬ)の吠声(はいせい)

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恒例

半醒半酔、寤寐(ごび)の間(あわい)で惑いながら、己の体を点検する手続から僕の朝は始動する。

先ずは頭部。今朝は脳が輪切りされ、横断面が一致しない厭わしい幻覚。
種々の頭痛やら眩暈やら何やらを一通り嘗め尽くす。
続いて四肢に意識を移すが、又候(またぞろ)の按配で書き表す気も起きない。

床を抜け出して食餌を摂る。
滅多にない悪寒が襲うが、それ如きが何等の痛痒を僕に与えるだろうか。

攪乱する脳と振戦する手足で、今日も日常と対峙する。
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転換

頃来、状態が捗々(はかばか)しくなく、煩わしい日々が続いている。

先ず寝床から這い出る事から大儀であって、覚醒したその刹那、前額の頭痛と同時に後頭部の不快感を感じる。
恰(まる)で鬱陶を張り憑けられたかの様なそれを知覚すると、その腕だか脚だかが圧し掛かったの如く身動(みじろ)ぎが取れなくなる。
腕は痺れ震顫し、脚には鈍い痛みも伴って儘ならない。
鬱陶は眼球にも伸び、眩暈に襲われ瞼を閉じざるを得ない。

兎に角和らぐまで臥せた状態で凌ぐが、起床したところで状態は変わらないのだ。現に今も。


扨(さて)、
僕をこうも悩ませている業病の正体であるが、どうも周知されていないらしく、糅(か)てて加えて病名から別のものと誤解され易いのである。

転換性障害――ご存知だろうか。
先述の間違えられる病気とは、同じ音の癲癇(てんかん)である。

僕は曲がり形(なり)にも医療に関して大学校で得業したのだが、不勉強な上、精神疾患については履修していなかったものだから、偏見と自虐に充ちた説明となる事を予め布石として打っておく。

身体表現性疾患だの疾病利得だのは云うまい。
調べれば出てくるものであるし、以前のBlog『コトバ noise ミ』で述べていた筈だ。

どうも無駄口が過ぎる。
一言で済まそうとすれば、“我儘を拗(こじ)らせた病気”、だろうか。
更に単語で済ませば只二文字、“逃避”。

全く誠に実以て僕らしい、御誂(おあつら)え向きである。

暗澹(あんたん)

前歴に二度目の短期退職が加わった。

と、迂遠(うえん)に云っても詮無い。
畢竟ずるに、非常勤を三カ月で辞めたのだ。

再び坐食の徒となった訳である。


離床するにも、苛烈を喚くが如く輾転(てんてん)し振顫(しんせん)し、起立するのも難儀する。

揺動し安定しない心身を騙し騙し働かし、込み上げようとする胃の内容物を抑えたたところ、嚮後(きょうご)は暗澹として展望がない。
はてな、何をしたものやら。

下肢(あし)

【閲覧注意】
この記事には人に依っては非道徳的と受ける懼(おそ)れのある内容が含まれています。



現代書生は病んだとき黒い脚を夢む。


それは、上腿の真中辺りから前触れも無く艶消し黒の無機物が伸びるのだ。

膝下からは、筋を模して緩やかに伸び腱と成り結ばれる。

前面を覆うのも只々黒く、一瞥して人工物と知れる。


僕はその脚で外を歩きたい。

最早意志を喪った肉体など切棄てて、黒い脚を手に入れたい。


それを惜し気も無く晒して自由になりたい。

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