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人魚廼舎 詞藻苑  NINGYO NO YA ―shisou en―

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転換

頃来、状態が捗々(はかばか)しくなく、煩わしい日々が続いている。

先ず寝床から這い出る事から大儀であって、覚醒したその刹那、前額の頭痛と同時に後頭部の不快感を感じる。
恰(まる)で鬱陶を張り憑けられたかの様なそれを知覚すると、その腕だか脚だかが圧し掛かったの如く身動(みじろ)ぎが取れなくなる。
腕は痺れ震顫し、脚には鈍い痛みも伴って儘ならない。
鬱陶は眼球にも伸び、眩暈に襲われ瞼を閉じざるを得ない。

兎に角和らぐまで臥せた状態で凌ぐが、起床したところで状態は変わらないのだ。現に今も。


扨(さて)、
僕をこうも悩ませている業病の正体であるが、どうも周知されていないらしく、糅(か)てて加えて病名から別のものと誤解され易いのである。

転換性障害――ご存知だろうか。
先述の間違えられる病気とは、同じ音の癲癇(てんかん)である。

僕は曲がり形(なり)にも医療に関して大学校で得業したのだが、不勉強な上、精神疾患については履修していなかったものだから、偏見と自虐に充ちた説明となる事を予め布石として打っておく。

身体表現性疾患だの疾病利得だのは云うまい。
調べれば出てくるものであるし、以前のBlog『コトバ noise ミ』で述べていた筈だ。

どうも無駄口が過ぎる。
一言で済まそうとすれば、“我儘を拗(こじ)らせた病気”、だろうか。
更に単語で済ませば只二文字、“逃避”。

全く誠に実以て僕らしい、御誂(おあつら)え向きである。
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