2012/08/05 Category : 机上の泉 ―大辞泉等依り― 修辞の森 比喩②/換喩・提喩・諷喩 以下は隠喩の一種と云っても好いだろう。◇換喩(かんゆ)ある事物を表すのに、それと深い関係のある事物で置き換える法。「青い目」で「西洋人」を、「鳥居」で「神社」を表す類。挙偶法。メトニミー 例文の譬(たと)えが旧いが、「永田町」で「国会」を、「ドン・ファン」で「女たらし」を差す等、要は象徴で全体を差す。一般名詞の代わりに固有名詞を用いると云った風だ。 番外◆転喩(てんゆ)ある物事を直接に言うかわりに、それに先行または後続することを言う。「袖をぬらす」で「涙を流す」を、「お手洗い」で「トイレ」を、また「十分すぎるほど生きた」で「死」を表す類。換喩の一種とされる事がある。◇提喩(ていゆ)全体と部分との関係に基づき、「花」(全体)で「桜」を、「小町」(部分)で「美人」(全体)を表現する類。シネクドキ。 換喩に似ているが、違いは、包含する関係にある事である。 ◇諷喩(ふうゆ) たとえだけを提示して、その本義を間接的に推察させる方法。「燕雀(えんじゃく)安(いずくん)ぞ鴻鵠(こうこく)の志を知らんや」が、小人物に大人物の心はわからないの意をさとらせる類。寓喩。 要は例え話、諺(ことわざ)。 PR
2012/08/05 Category : 机上の泉 ―大辞泉等依り― 修辞の森 比喩/直喩と隠喩 旧blogより転記、改訂。■■■現在、最も学びたい学問は修辞学である。残念ながら文学に関しては大学校で修学出来なかったので自学となる。◇直喩(ちょくゆ)「ようだ」「ごとし」「似たり」などの語を用いて、二つの物事を直接に比較して示すもの。「雪の様な肌」「蜜に群がる蟻のごとく集まる」の類。明喩(めいゆ)。シミリ。 ◇隠喩「…のようだ」「…のごとし」などの形を用いず、そのものの特徴を直接他のもので表現する方法。「花のかんばせ」「金は力なり」の類。暗喩。メタファー。 直喩に関しては“など”とあるが、前に「まるで」と付けても直喩だろう。 私見だが、我田引水の説で往々にして用いられる稚拙な直喩は酷くて聞くに堪えない。 また、上記の「雪の様な肌」「花のかんばせ」の様に、使い古された常套文句も、文章を書こうとする者なら使うべきではないだろう。前者は直喩など使わずとも「雪の肌(隠喩)」「雪肌(せっき・ゆきはだ)」で充分だ。僕なら「白皙(はくせき)」を使う所だが。
2012/07/13 Category : 机上の泉 ―大辞泉等依り― 書厨/書淫/書痴 読書に関する言葉を集めてみた。◇書厨(しょちゅう)①本棚。書棚。②ただ読書するだけで、その知識を活用する才能のない人。「厨」と見聞きすると、オタク気質な僕は「厨房(=中坊)」とか何何中毒の「○○厨=中)」などの類かと発想して仕舞うが、本来「厨」という漢字は箱とか箪笥を意味するようだ。同じような言葉に「書蠧(しょと)」「蠧魚(とぎょ)」があるが、どちらも紙魚(しみ)という書物を食害する虫の事を云う。これは云われたら相当厭(いや)だ。害虫扱いかと。本棚のほうが幾等(いくら)か救われる。孟子の言葉に「悉(ことごと)く書を信ずれば則(すなわ)ち書無きに如(し)かず」とあるのも結構衝(つ)いてくる。「お前は本読むな」云われたみたいだ。◇書淫(しょいん)読書にふけること。非常に書物が好きなこと。また、その人。この場合の「淫」は、「淫する=度を過ごして熱中する、耽(ふけ)る」という意味である。因(ちなみ)に、前後逆にして「淫書」とするとエロ本になる。「書淫」というエロゲがあるらしい。閑話休題。◇書痴(しょち)①読書ばかりしていて、世の中のことにうとい人。②書物の収集に熱中している人。ビブリオマニア。前者に関しては、学者に対して云う似たような言葉があったような気がするが、生憎(あいにく)今思い出せない。後者は割と身に覚えがある。蒐集癖。書架に並んであるのを見ると陶然(とうぜん)として仕舞う。ジョジョやら西尾維新やら。と、『机上の泉』はこの様な容(かたち)で進めていきたいと思う。読んで戴いた方々のお役に立てたら同慶の至り。
2012/07/13 Category : 机上の泉 ―大辞泉等依り― 言泉(げんせん) 辞書と云えば広辞苑が名高いが、僕は幼少の頃已来(いらい)ずっと小学館の大辞泉を日用している。カテゴリー名、机上の“泉”は正(まさ)しくこれに由来する。この書で僕は多くの語句、人物や名台詞を知った。それ等をパソコンに打ち込んで、印刷しては眺めて悦に入るという奇癖がある。とは云え、残念乍(なが)ら僕の語彙力に全く活かされてはいない。浅学にして菲才(ひさい)の僕がこれ等を専有するのは可惜(お)しい。そこで、蒐集(しゅうしゅう)した言葉達を時々に披露しようと考えている。