2012/09/17 Category : 日乗(にちじょう) ―“現代書生”の色色とその生活― 黝(あおぐろ) 本日は祝日であるから勤め先も休診日である。日曜という日は、明日の労働を憂えて寝起きの頃より鬱(ふさ)いで居る僕だが、昨日は穏やかに過ごした。濡れ縁に降りて振り仰ぐと、遠い台風の作用か、高所の雲が陸続と運ばれ流されて往く。目を庭前に落すと、黒い蝶が軽々とひらめかしていた。揚羽の類であろう。はて、黒揚羽か鴉揚羽かしらなど幼劣な憶測などしない。昔、小学校の女教師が青い蝶を見て、僕等生徒に「ほら、ルリアゲハだよ」と抜かしていた様に。無論、瑠璃揚羽が日本に居る訳がない。観れば容易に鑑別が付く。後翅に尾状突起が無いのだから。長崎揚羽の雄である。渠(かれら)は歴然とした性的二形があるから、雌雄さえ僕でも解る。黒色の翅が光の具合で青く見えるのが霊妙この上ない。 PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword