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人魚廼舎 詞藻苑  NINGYO NO YA ―shisou en―

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ヘルシング完全ガイド

少年画報社 ヘルシング完全ガイド


これだけは冗費だとレジに並ぶ合間も擬議(ぎぎ)しながらも、蒐集癖の性故か購入して終った「ヘルシング完全ガイド」。


果たして、“完全”と銘打ってあるには些(いささ)か看板倒れと感じた。

殊に半頁以上を占める1~3章は、ファンブックの類型の域を出ない在り来(きた)りの内容で幻滅すら覚えた。

4章の作者インタビューにしても、コミックス巻末の調子が多少不好きな僕には物足りなさを感じる。言葉の応酬は迚(とて)も面白いが。

せめて年表はあって欲しかったが、未完の外伝に触れる事になるので収録は不可能だったのだろうか。


本編を読んだ者にとっては殆ど新しく得る情報は無いと云えるだろう。

但し、
ヘルシング愛読者であれば“見本必買(サーチアンドパーチェイス)”
“AMEN(エイメン そうあれかし)”
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下肢(あし)

【閲覧注意】
この記事には人に依っては非道徳的と受ける懼(おそ)れのある内容が含まれています。



現代書生は病んだとき黒い脚を夢む。


それは、上腿の真中辺りから前触れも無く艶消し黒の無機物が伸びるのだ。

膝下からは、筋を模して緩やかに伸び腱と成り結ばれる。

前面を覆うのも只々黒く、一瞥して人工物と知れる。


僕はその脚で外を歩きたい。

最早意志を喪った肉体など切棄てて、黒い脚を手に入れたい。


それを惜し気も無く晒して自由になりたい。

初秋(はつあき)

秋彼岸を迎えた今になってこの題名は如何なものかと危ぶむ心もあるが、今になって秋気が新鮮に思えるのだ。
以前は秋を、夏を引き摺っただけと、ないものと軽んじていたが、なかなか好いものと思い知った。


早朝はすっかり新涼を催し、着る物を迷っている内に残暑がやってきて、結局普段の服装に落ち着く。

昼は陽射(ひざし)は未だ強くとも、初秋風(はつあきかぜ)を受けて清々(すがすが)しい。

一年以上表に出ず、無論夜気などには全く以て触れていなかったものだから、務めから遅く帰る道は清新に感じる。

黝(あおぐろ)

本日は祝日であるから勤め先も休診日である。

日曜という日は、明日の労働を憂えて寝起きの頃より鬱(ふさ)いで居る僕だが、昨日は穏やかに過ごした。


濡れ縁に降りて振り仰ぐと、遠い台風の作用か、高所の雲が陸続と運ばれ流されて往く。
目を庭前に落すと、黒い蝶が軽々とひらめかしていた。
揚羽の類であろう。はて、黒揚羽か鴉揚羽かしらなど幼劣な憶測などしない。
昔、小学校の女教師が青い蝶を見て、僕等生徒に「ほら、ルリアゲハだよ」と抜かしていた様に。
無論、瑠璃揚羽が日本に居る訳がない。


観れば容易に鑑別が付く。後翅に尾状突起が無いのだから。
長崎揚羽の雄である。
渠(かれら)は歴然とした性的二形があるから、雌雄さえ僕でも解る。


黒色の翅が光の具合で青く見えるのが霊妙この上ない。

辯疏(べんそ)

傭役(ようやく)されて幾日が経った。
2度ほど早退しながらも、辛うじて続けている。

使用者としては、公立四大卒で国家資格持ち、斯界(しかい)では高名である歯科診療所に3カ月ではあるが勤務した経験が有るという事から、少なからず期待して雇傭(こよう)したのだろう。

ところが恰(まる)で御話にならない働き振り。糅てて加えて得体の知れない病身と、却って厄介者を拾って仕舞ったと長嘆息を洩らしていることだろう。
当該の本人としては善くもまあ免職を赦されているものだと思う。


職場では事ある毎に4年間何を勉強していたのか、と難詰される。

前の勤め先では専門学校であろうが2年制、3年制であろうが問わず、寧(むし)ろ新設の四大は即戦力としては頼りないという認識であった為、学歴について問われることは無かった。

況(ま)してや僕は臨床実習に出るまでの2年半、副専攻の教育学に熱心だった為、試験対策以上の勉強をしていなかったのである。具体的には当日2時間程度である。
それに、四大であれば実習期間も長かろうと解釈されるがとんでもない。実際は既定日数も際どいのである。


そうは云っても、職場で云い訳をする訳にはいかない。
総てを身に受けて、黙して今は働くしかない。

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